1997年11月号

Newton ではじめるプログラミング

今月は、Newton でのプログラミングを始めるに当たって、素晴らしい教科書になるであろうオーム社の「Newtonではじめるプログラミング」の著者、バスケ氏(鈴木陽介氏)とのインタビューをお送りしよう。Mac OS 機をお使いの方には、NoMeMo Busters の作者と言えば、おわかりになるであろう。

今里

「この本を書いた目的はどういったことだったのですか?」
バスケさん

「Newtonを使っていると、毎日持ち歩く身近なツールということもあって、割と不満を覚えることが多いと思います。そんな不満というのは便利なツールで解消されたりもしますが、実は自分でもしできるなら解決できるものだということを、ユーザーである皆さんに知っていただきたいということが大きな理由です。

プログラミングというと大げさなことに聞こえますが、実は普段何気なく行っている「工夫」の延長線上であるとも考えることもできます。特にNewtonユーザーには、こうした工夫を行うがんばり屋さんが多いので、それならあと少しがんばって、自分でプログラムをして見たらどうかな、という提案なわけです。

実は僕が最近掲げているテーマの一つに「一億総プログラマ」というものがあるんです。といってもほんとにみんながみんなプログラマになるなんてありえませんが、いずれは人間がプログラミングを全部やる必要はなくなります。大部分はコンピュータがサポートした上で、最終的なプログラミングを人間がやるということになるでしょう。そんな日が一日でも早く来るためにも、プログラミングに対する世間一般の拒否反応というものを減らしたいということもありますね。」

「具体的にどのような方に向けて書かれているのでしょうか?」

「一つはタイトルのとおり、これからプログラミングを始めようと思っている方を対象に書きました。ですので、内容的にはNewtonとは関係ないところから始まっています。ずばり「プログラムとは何か?」といったところにも結構ページを割いています。何かプログラミングというのをやって見たいんだけど、全然取っ掛かりがつかめないという方にとってはいい感じに仕上がっていると思います。

もう一つは、プログラム自体は知っているけどNewtonのプログラムはまだやったことがないという方です。Newtonは普通のコンピュータとは結構構造が違っていますし、システム的にも「ビューシステム」とか「スープ」とか理解しづらい要素が多々あります。そんな方にとってもいい教科書になると思います。」

「全くプログラミングの知識の無い初心者の方でも理解できるのでしょうか?」

「自分がプログラミングを始めたのは随分と昔なので、正直言って、初心者の方のお気持ちが分からないところもあるんですが、この本の内容を、そのままたどれば可能になるレベルというのは用意してあります。プログラミングを始めて、挫折してしまう最大の理由は、用語について行けないという事だと思います。今回の本では、あまり厳密にはしていません。むしろ最初の勢いこそが肝心だと思いますので、概念的に緻密な構成というよりも、感覚的に理解できるように心がけました。」

「内容はどういう構成になっていますか?」

「プログラミングの基本的なことから始まって、NewtonScriptなどを勉強、そして時計や電卓のような基本的なアプリケーションの作成と続きます。順番に進んで行けば、基本はすべて抑えられるようになっています。

さらに後半では、もっと実用的なTapBar用のボタンの作り方や、Notes用の「割り勘」ステーショナリー、さらには日本語のインターフェースの作り方やデバッグの仕方など、資料が少なくてなかなかわからなかった部分などもカバーしています。」

「バスケさんは、普段はどのように Newton を使っていらっしゃいますか?」

「メインはメモです。スケッチモードが多いですね。暇を見つけては清書しています。スケッチのままだと後々使い物にならないデータになってしまいますので。あと、サイン集めが趣味なので、そのためにも使っています。すでにAppleを去ってしまった「ドン・ノーマン」のサインも持っています(笑)。

あとはもちろんプログラムのために使っています。と言うのも僕の場合趣味もプログラミングなもので、空いた時間にNewtonの中味を調べたりするのが一つの息抜きになっていたりするんです。」

「Newton の今後の展開に関してどのように思われますか?」

「ツールがフリーで公開されたので、Newton に興味のあったプログラマが動きやすくなりました。今までは、商用ベースでの動きが殆どだったのですが、そのあたりが変わってくるのではないかと思います。Freeware の世界での動きが活発化すると嬉しいと考えています。時代の流れなんでしょうが、最近は何でもすぐSharewareになってしまって、「ただ」の世界というものが非常に少なくなってきています。当初の Mac OS 機が Freeware 作家のご努力で、より魅力的なものになったように、Newton の世界においても、こういったフリーのアプレットがどしどし発表されてほしいという願っています。 またフリーということで、プログラマが協力して何かを生み出すという動きももっと活性化させていきたいと思っています。」

「本日はお忙しいところ、ありがとうございました。」

「いえいえ、どういたしまして。」


さて、この「Newton ではじめるプログラミング」には、CD-ROM で Newton Toolkit for Mac OS・Newton Toolkit for Windows・Resorcerer Demo(for Mac OS)・ViewFrame Demo(for Mac OS)といったアプリケーションも供給されるとのことだ。この本一冊で簡単に Newton のプログラミングが始められる。興味のある方は、是非とも Newton プログラマとしてアプレットをどしどし発表してほしい。


この文章は1997年10月18日発売のMACLIFE誌に掲載された記事です。従って現時点での情報と異なる点があることを予めご了承ください。